「お金」の条件 「お金」にするなら、どんなモノ?
- お金の条件① しっかりした材質のモノ
- お金の条件② みんなが「お金」と認めるモノ
- お金の条件③ あらゆる価値(金額)を表せるモノ
「お金」の誕生
大昔、まだ「お金」がなかった時代には、「物々交換」が行われていました。「物々交換」とは、自分が所有するモノと、他人が所有するモノとを、お互いに取りかえることです。
しかし、「物々交換」は、あまり便利な取引方法ではありませんでした。
交換するモノが偶然に同じ価値であればよいのですが、あまりにもその価値が離れていると、交換は成り立ちません。また、交換したいモノがうまく合う人を見つけるのも大変でした。
そこで、交換できる共通の物として生まれたのが「お金(貨幣)」です。
では、「お金(貨幣)」として使うには、どんな条件があるでしょうか?
お金の条件① しっかりした材質のモノ
まず、時の経過とともに腐ってしまう食べ物や、壊れやすい消耗品などは、貨幣として不都合です。
「さかな」も「みかん」も、新鮮なうちはいいけれど、何日かしたら腐ってしまいます。長期間、貯めておくことはできません。
「お金(貨幣)」には、時間が経っても腐らず、うっかり落としても壊れにくいモノが適しています。
お金の条件② みんなが「お金」と認めるモノ
「お金(貨幣)」は、人々の暮らしを便利にする交換アイテムです。
人々の大切な持ちものと交換するのだから、みんなが「それ、イイね!」と認めるモノじゃないと困ります。
もしも、「さかな」が「お金(貨幣)」だったら…?
Aさんが、「さかな(お金)」を持って、大好きな「みかん」を買いに行きました。
ところが、甘くておいしい「みかん」をたくさん持っているBさんは、なんと「さかな」が大嫌いで、交換してくれない…なんてことも!
「お金(貨幣)」には、みんなが「価値がある、交換したい」と思えるモノが適しています。
お金の条件③ あらゆる価値(金額)を表せるモノ
「お金(貨幣)」は、いろいろなモノと交換されるアイテムですから、あらゆる価値(金額)を表せないと困ります。
もしも、「さかな」が「お金(貨幣)」だったら…?
Aさんが、「小さいさかな1匹(60円相当)」を持って、「大きいみかん3個(60円相当)」を買いに行きました。
ところが、「小さいみかん1個(10円相当)」しかありません。
…どうしますか? 「みかん」をあきらめますか? それとも「さかな」を小さく切って交換しますか?
「お金(貨幣)」には、価値の大小にかかわらず、うまく交換できるモノが適しています。
確認問題
(1)「お金(貨幣)」として使うには、(A)しっかりした材質のモノ(B)壊れやすい消耗品 どっちが適している?
(2)「お金(貨幣)」として使うには、(A)みんなが嫌がるモノ(B)みんなが「お金」と認めるモノ どっちが適している?
(3)「お金(貨幣)」として使うには、(A)例えば1万円分の価値しか表せないモノ(B)あらゆる価値(金額)を表せるモノ どっちが適している?
答えはこのページの下のほうにあります。
用語解説
物々交換(ぶつぶつこうかん)
barter trade(バーター・トレード)
●自分が所有するモノと、他人が所有するモノとを、お互いに取りかえること。
●貨幣を媒介(仲立ち)しない、直接的な交換のこと。
●近年においても、貨幣が機能しない混乱時(戦争や不況など)に行われることもある。
お金(おかね)/貨幣(かへい)
money(マネー)/currency(カレンシー)
●時間が経っても腐らず、壊れにくいモノが「お金(貨幣)」に適している。
●みんなが「価値がある、交換したい」と思えるモノが「お金(貨幣)」に適している。
●価値の大小にかかわらず、うまく交換できるモノが「お金(貨幣)」に適している。
参考文献
図解!社会人としてこれだけは知っておきたい通貨のカラクリ(永野良佑著/秀和システム)
面白くて眠れなくなる社会学(橋爪大三郎著/PHP研究所)
答え
(1)(A)しっかりした材質のモノ
「お金(貨幣)」には、時間が経っても腐らず、うっかり落としても壊れにくいモノが適しています。
(2)(B)みんなが「お金」と認めるモノ
「お金(貨幣)」には、みんなが「価値がある、交換したい」と思えるモノが適しています。
(3)(B)あらゆる価値(金額)を表せるモノ
「お金(貨幣)」には、価値の大小にかかわらず、うまく交換できるモノが適しています。