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「お金」の歴史 どんな「お金」が使われた?
- 物品貨幣(自然貨幣→商品貨幣)→金属貨幣(秤量貨幣→鋳造貨幣)→紙幣へ
- 日本最古の鋳造貨幣は、7世紀後半の「富本銭」
- 世界最古の鋳造貨幣は、紀元前7世紀後半の「エレクトラム硬貨」
物品貨幣
時の経過とともに腐ってしまう食べ物や壊れやすい消耗品などは、貨幣として不都合です。
そこで、当初は、貝がら・石・布・米などが貨幣として使われました。これを「物品貨幣」といいます。
物品貨幣は、貨幣の素材によって、「自然貨幣」と「商品貨幣」に分けられます。
自然貨幣
まず、貝がら・石・骨などの、自然のものを素材とした貨幣が使われるようになりました。これを「自然貨幣」といいます。
自然貨幣は、宗教や呪術を背景としたもので、貨幣そのものに価値はなく、貨幣として使うには無理がありました。
商品貨幣
次に、布・米・家畜・穀物などの、商品そのものを貨幣として使うようになりました。これを「商品貨幣」といいます。
しかし、商品貨幣は持ち運びが不便な貨幣でした。
金属貨幣
金、銀、銅などの金属でつくられた貨幣を「金属貨幣」といいます。
布、米、家畜、穀物などの商品貨幣は、持ち運びが不便であったため、持ち運びに便利で壊れにくい金属貨幣が使われるようになりました。
金属貨幣は、「秤量貨幣」と「鋳造貨幣」に分けられます。
秤量貨幣
金属貨幣では、まず商品貨幣としての性質を残す「秤量貨幣」が使われました。
秤量貨幣は、金属を重さで量って貨幣として使用したものです。そのため、貫や匁などの重さが、単位として使われました。金属の価値と貨幣の金額が等しい貨幣です。
鋳造貨幣
やがて、金属を溶かし型に流してつくる「鋳造貨幣」が使われるようになりました。
鋳造貨幣は、金属の価値とは関係なく、信用貨幣としての性質を持っていました。
鋳造貨幣は、額面を表示するところから「計数貨幣」とも呼ばれています。
計数貨幣は、一定の形状をもち、一定の品位と重量を刻印で保証した貨幣です。江戸時代に発行された、大判や小判などがこれにあたります。
※「信用貨幣」とは、管理通貨制度の下で発行される、金貨との交換を保証しない貨幣のことです。国の信用で流通するお金なので、信用貨幣といいます。
金属貨幣は、大きな金額になると、重くて持ち運びが困難であったため、持ち運びが容易な「紙幣」へと移行していきました。
※ここでは、物品貨幣と金属貨幣を分けて説明していますが、金属貨幣も物品貨幣に含むとする考えもあります。
日本で一番古い鋳造貨幣は?
これまで、日本最古の鋳造貨幣は、8世紀初頭に生まれた「和同開珎」とされていました。
※和同開珎の読み方には、「わどうかいちん」と「わどうかいほう」の2通りの説があります。
しかし、1998(平成10)年、奈良県の飛鳥池遺跡から、7世紀後半のものと推測される「富本銭」が発見され、話題を呼びました。
現在では、富本銭が日本最古のお金と考えられています。
世界で一番古い鋳造貨幣は?
世界最古の鋳造貨幣は、紀元前7世紀後半に、小アジアのリディア王国(現トルコ)で鋳造された「エレクトラム(エレクトロン)硬貨」です。
エレクトラム硬貨は、金と銀の合金(エレクトラム)でつくられており、ライオン(リディア王の紋章)が刻印されていました。
やがて、エレクトラム硬貨は、リディア王国から隣接するイオニア地方へ、そしてギリシアの都市国家へと伝わっていきました。
確認問題
(1)貝がら・石・骨などの、自然のものを素材とした貨幣を( )という。
(2)布・米・家畜・穀物などの、商品そのものを使った貨幣を( )という。
(3)金属を重さで量って使用したもので、金属の価値と貨幣の金額が等しい貨幣を( )という。
(4)金属を溶かし、型に流してつくる貨幣を( )という。
(5)鋳造貨幣は、額面を表示するところから( )ともいう。
(6)管理通貨制度の下で発行される、金貨との交換を保証しない貨幣を( )という。
(7)日本最古の鋳造貨幣は、奈良県の飛鳥池遺跡から発見された、7世紀後半のものと推測される( )である。
(8)世界最古の鋳造貨幣は、小アジアのリディア王国から発見された、紀元前7世紀後半のものと推測される( )である。
答えはこのページの下のほうにあります。
用語解説
物品貨幣(ぶっぴんかへい)
material money(マテリアル・マネー)
●貝殻・石・布・米など。
●貨幣の素材によって、自然貨幣と商品貨幣に分けられる。
●金属貨幣も物品貨幣に含むとする考えもある。
自然貨幣(しぜんかへい)
natural money(ナチュラル・マネー)
●貝殻・石・骨など。
●貨幣の素材が自然のもので、貨幣そのものに価値はない。
●宗教や呪術を背景としたもの。
商品貨幣(しょうひんかへい)
commodity money(コモディティ・マネー)
●布・米・家畜・穀物など。
●商品そのものを貨幣とした。
●持ち運びが不便であった。
金属貨幣(きんぞくかへい)
metallic money(メタリック・マネー)
●金、銀、銅などの金属でつくられた貨幣。秤量貨幣と鋳造貨幣に分けられる。
●布、米、家畜、穀物などの商品貨幣は持ち運びが不便であったため、持ち運びに便利で壊れにくい金属貨幣が使われるようになった。
●金属貨幣も物品貨幣に含むとする考えもある。
秤量貨幣(ひょうりょうかへい)
currency by weight(カレンシー・バイ・ウエイト)
●金属の価値と貨幣の金額が等しいもの。
●商品貨幣としての性質を残す。
●金属を重さで量って貨幣として使用した。
鋳造貨幣(ちゅうぞうかへい)
coined money(コインド・マネー)
●金属を溶かし型に流してつくったもの。
●額面を表示するところから「計数貨幣」ともいう。
●金属の価値とは関係なく、信用貨幣としての性質を持っていた。
計数貨幣(けいすうかへい)
currency by table(カレンシー・バイ・テーブル)
●金属を溶かし型に流してつくったもの。「鋳造貨幣」ともいう。
●一定の形状をもち、一定の品位と重量を刻印で保証した貨幣。
●江戸時代に発行された、大判や小判などがこれにあたる。
信用貨幣(しんようかへい)
faith money(フェース・マネー)
●国の信用で流通するお金のこと。
●管理通貨制度の下で発行される、金貨との交換を保証しない貨幣。
●「不換紙幣」ともいう。
和同開珎(わどうかいちん)
Wado Kaichin coin(ワドウカイチン・コイン)
●8世紀初頭に生まれた貨幣。
●富本銭が発見される以前は、日本最古の鋳造貨幣と考えられていた。
●読み方には、「わどうかいちん」と「わどうかいほう」の2通りの説がある。
富本銭(ふほんせん)
Fuhonsen coin(フホンセン・コイン)
●7世紀後半のものと推測される貨幣。
●1998(平成10)年、奈良県の飛鳥池遺跡から発見された。
●日本最古の鋳造貨幣と考えられている。
エレクトラム硬貨(えれくとらむこうか)
electrum(エレクトラム)
●紀元前7世紀後半に、小アジアのリディア王国(現トルコ)で鋳造された硬貨。世界で初めての貨幣とされる。
●金と銀の合金(エレクトラム)でつくられ、ライオン(リディア王の紋章)が刻印された。
●リディア王国から隣接するイオニア地方へ、そしてギリシアの都市国家へと伝わった。
参考文献
富本銭と謎の銀銭―貨幣誕生の真相(今村啓爾著/小学館)
図解入門ビジネス最新金融の基本とカラクリがよーくわかる本(久保田博幸著/秀和システム)
答え
(1)自然貨幣
自然貨幣は、宗教や呪術を背景としたもので、貨幣そのもの(貝がら・石・骨など)には、価値はありませんでした。
(2)商品貨幣
商品貨幣は持ち運びが不便であったため、持ち運びに便利で壊れにくい「金属貨幣」へと移行していきました。
(3)秤量貨幣
秤量貨幣は、商品貨幣としての性質を残す貨幣で、貫や匁などの重さが、単位として使われました。
(4)鋳造貨幣
鋳造貨幣は、金属の価値とは関係なく、信用貨幣としての性質を持っていました。
(5)計数貨幣
計数貨幣とは、一定の形状をもち、一定の品位と重量を刻印で保証した貨幣のことです。江戸時代に発行された、大判や小判などがこれにあたります。
(6)信用貨幣
国の信用で流通するお金なので、信用貨幣といいます。
(7)富本銭
以前は、日本最古の鋳造貨幣は、8世紀初頭に生まれた「和同開珎」と考えられていました。
(8)エレクトラム(エレクトロン)硬貨
エレクトラム硬貨は、金と銀の合金(エレクトラム)でつくられており、ライオン(リディア王の紋章)が刻印されていました。
参考ファイル
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